矯正歯科選びのポイント

矯正治療を受けようと思っても、「どこの歯科医院にしたらよいかわからない」といった方も多いのではないかと思います。矯正歯科選びにはいくつかのポイントがあります。公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会をはじめ、その他、様々な矯正歯科でも、ホームページなどで類似のポイントが紹介されています。矯正歯科選びの一つの目安になるかもしれません。

『矯正歯科選び』のポイント

1、矯正医が「常勤」しているか?

歯科医師であればだれでも矯正治療を行うことができ、歯科医院には矯正歯科という診療科を標榜することが可能です。しかしそのこともあり、患者さんとしては「どこを選ぶとよいかわからない」といったケースも少なくありません。そこで矯正治療を受けられる歯科医院をいくつかのタイプに分類してみました。

A、矯正医が常勤しており、矯正治療専門に治療を行っている矯正歯科
B、一般歯科治療を中心に行っており、月に数度だけ矯正医が来ている歯科医院
C、一般歯科治療を中心に行っている先生が、矯正治療も一部行っている歯科医院
この中でも、特に「A」の、「矯正医が常勤している矯正治療専門の矯正歯科」の場合は、矯正医が常勤しているため、矯正装置に不具合などが発生した場合にも、迅速な対応が可能であることや、治療スケジュールも組みやすくなり、治療期間の短縮にもつながります。また、矯正専門に行っていることから、その専門性や矯正治療に精通しているといった点もあげられます。

2、日本矯正歯科学会「認定医」の資格の有無は?

日本国内において歯科医師の数は10万人以上(厚生労働省 2018年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 より)とされていますが、その中で「矯正歯科」を標榜している歯科医師の人数は2万人以上となっています。そして、この約2万人のうち、7,000人程が、日本矯正歯科学会の会員となっています。実際、日本矯正歯科学会7,000人の会員のうち、約3,000名以上程度が認定医であり、歯科医師全体からみて、わずか3%という資格です。「歯科医師免許を有する者。」「歯科医師免許取得後、引き続き5年以上の学会会員である者。」「学会指定研修機関において5年以上矯正歯科研修を修了したもの。」「学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する論文を発表した者。」「学会倫理規程を遵守する者。」などの条件を満たした矯正医がこの資格を得ることができます。

3、「セファログラム」検査をしているか?

「セファログラム」とは、「頭部X線規格写真」のことで、矯正治療にはとても大切な検査となります。一般の歯科医院では、なかなか導入しているところも少なく、矯正専門の矯正歯科に完備されているところが多い、矯正歯科用の特別なレントゲン機器です。セファログラムによる検査は、特に小児の矯正治療では、お口を含めて、あごや顔面などの成長過程にあり、変化していきます。そのため、お口の周りの「成長のバランス」「成長の方向」「成長の量」を予測する必要があり、そのために必要な検査なのです。

4、「精密な診査・診断」を行っているか?

矯正治療では、あごの状態や、関節、顔貌、治療の予測などを立てる必要もあり、検査項目も一般的な虫歯などの治療と比べて、多くなります。矯正治療の検査として必要なものには、主に下記のようなものがあります。

・問診
・口腔内診査
・口腔内写真 / 顔貌写真 撮影
・セファログラム(頭部X線規格写真)
・パノラマレントゲン
・印象採取
・顎関節 / 咬合機能 検査
・筋肉の活動量 測定
・CT撮影(必要に応じて)

5、治療や費用などについて丁寧な「説明」をしてくれるか?

矯正治療は、健康保険適用外の治療となり、費用は全額患者さんの負担となります。また、治療期間も年単位の長期となりますし、治療後にどのようになっているのかも気になります。これらのことからもしっかりと納得した上で治療を受けたいものです。そのため、治療に際しては、丁寧に、わかりやすく説明してくれる矯正医を選ぶとよいでしょう。おおよその治療期間、治療の経過や完了についてのこと、保定のことや、抜歯が必要なのか否かなど、しっかり説明をしてくれるかどうかは大切なポイントといえます。

また、治療が長期間に及ぶことから、治療中の引っ越しなどの可能性も考えられますので、その際の「転医の紹介」や「治療費の扱いがどうなるのか」などについても説明を受ける必要があります。

 

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